アイコンとしてのカエル③

中国における蝦蟇・蛙について
蝦蟇の妖術の大元である中国の神話・伝承において、蝦蟇(蟾蜍)・蛙は、
月・不死の象徴・薬・富に結び付く存在です。
蝦蟇が伝説化された一つにはその薬効があると思われます。それは「蟾酥」
と言い、『本草綱目』『宋書』等に記載されています。また、『神農本草経』
では「蝦蟇」をそのまま薬として使用する使用法が記載されており、腫物に効
くとされています。なお、『本草綱目』には千年生きた蝦蟇を食べると仙人に
なれる、という説も載っています。
蟾酥は、ヒキガエル科のヒキガエル、シナヒキガエルまたはヘリグロヒキガ
エルの耳後腺および皮膚腺の分泌物です。強心作用、局所知覚麻酔作用、呼吸
促進作用、血管収縮作用、発汗防止作用、切り傷や擦り傷の止血、幻覚作用な
どがあるとされており、蝦蟇には見かけから想像された空想上の効果(思い込
みのような効果)のみでなく、蝦実際の成分による薬理作用があるようです。
このように蝦蟇は、実際に薬効を持った生物ではありますが、それ以上に蝦
蟇を神秘的な生物として扱うのは、「月=不老不死=不死の薬」と蝦蟇を結び
付ける伝説があるためでしょう。
それは『淮南子』巻六覽冥訓に「羿請二不死之藥於西王母一、姮娥竊以奔レ
月」 とある、嫦娥奔月の物語です。「嫦娥奔月」は不死となった嫦娥は蟾蜍
になって月に住む、また、月に住む蟾蜍は三本足の蟾蜍であるとされ、青蛙神
という蟾蜍の霊獣、または神であるとも言われています」。さらに青蛙神は、
漢江から長江、杭州で信仰される天災を予知する、縁起のいい福の神、金運を
もたらす神であるとも言われています。ちなみに、中国全土に生息し体色の個
体差の大きさを特徴とするチュウカヒキガエルを神聖化したものが青蛙神であ
る、と考えられています。
中島慧
主な参考文献
上海科学技術出版社、小学館編『中薬大辞典』第三巻、小学館、一九八五年。